君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「女の子………かしら? でも、男の子でも、いずみっているわよね………」

性別不明な謎の名前に、小春はその電話を無視しようと考えた。

しかし今、優葉は気を失っており、一瞬の猶予も許されない状態だ。

どこの誰かは知らないが、 このような時に電話をかけてくるということは優葉と関わりの深い人物な可能性もある。

なので………小春は一縷の望みを賭けた。

「………はい」

『ッ、 ーーー優葉!?』

「………!!」

電話の声は、男性であった。
しかも、優葉を呼び捨てにしている。

優葉の恋人は李人で、しかも昔から李人以外の男性が優葉を名前で呼ぶなど聞いたことがない。

「あの………、あなたは一体………? こちらは………、私は、笹原 優葉の母です」

なので、小春は自然とそう問いていた。
すると男性は、電話越しで息を呑んだように聞こえたが………、やがて口を開いた。

『俺は………、俺は。 笹原先生の………大学の後輩で。 生徒だった者です。 
いきなり、お電話で笹原先生を呼び捨てにしてしまい、申し訳ありませんでした』


< 500 / 660 >

この作品をシェア

pagetop