君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………分かった。 その………、いきなりだったのに、対応してくれて、丁寧に説明までしてくれて感謝している。 ………ありがとうございます」
そう言い和泉は、甲斐甲斐しく主治医に頭を下げた。
「………!!」
いつも冷たく、誰に対しても高圧的な態度だった和泉が見せたその姿に………主治医は驚きで言葉が出てこなかった。
(去年の時期から和泉様は変わり始めたと、使用人たちの間で噂になっていたが………どうやら本当のようだ)
主治医は、チラリと優葉に目線をやる。
そして、先ほど和泉が彼女を抱き寄せた姿を思い出した。
「………いい傾向、ですね。 和泉様」
「………は?」
「……….いえ。 こちらの一人ごとです。 お気になさらないでください。 それに、私は瀬名家の主治医ですので、和泉様の大切な方の体調管理も私の務めです。また一週間後、診療にきます。それでは」
そう言い、主治医は満足げに和泉に向かって微笑むと去っていった。