君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「私………」

(そうだ。 李人君との事がバレて、記者達が押し寄せてきて、 晴夏のこともあって頭がパニックになって………)

そのあとの記憶が、優葉にはなかった。

和泉の話を聞く限り、どうやら意識を失っていたようだ。 

そして、これでもかというほどに抱きしめてくる和泉の体温を感じた。

「ッ、………瀬名君………」

(どうしてだろう………私は)

ーーー抱きしめられるたびに、何度も離れなければと………そう思うのに。 

「瀬名君っ………」

でも、このあたたかさは、一筋の光だ………。

この困難な状況で………まだ信じられる人がいる。

その光だ………。

だから………

「………まだ」

「………先生」

「離さないで………。 お願い………」

そう言い優葉は先ほどとは打って変わり、和泉を求めた。

優葉の言葉を聞いた和泉は、驚きで目を見開く。
そして、優葉に優しく微笑んだ。

「………先生が、求めるなら。 俺は絶対にアンタを離さない………」
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