君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「男………?」
「そう」
和泉は口元を緩め不敵に微笑むと、優葉にゆっくりと顔を近付けた。 その距離は優葉の唇まで後、数センチだ。
(逃げればいい。 ………逃げて、 泣きわめけばいい)
和泉はそう心から思った。 和泉の行動に優葉が、狂乱し公園での出来事を尋ねるのを忘れればいいと。
だが ………、和泉は思わず目を見開いた。
「………どうしたの?」
「アンタ………」
「私に……….キス、しないの?」
ふと和泉が見ると優葉は、和泉の唇を待っているかのように目を閉じていた。
「アンタ、正気? ………一応、教師の癖に何考えてんの?」
「そうだけど………、 瀬名君、私がそうしたら公園で泣いてた理由教えてくれるんでしょ? だから………これくらい何ともないよ」
そう言って、優葉は真っ直ぐな澄んだ瞳で和泉を見つめた。
しかし、その表情は確かに恐怖で歪み、和泉はそれを見て、一気に深く心をその底からえぐられたような衝撃を受けた。
(何で………ただのアルバイトの塾講師のくせに俺の為にここまでする?)