君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

李人は、一つ息を吐く。

それで、今にも痛みで潰れそうな心をどうにか抑えつけ………口を開いた。

「………斉木さん」

「なんだ?」

「一日。 一日、マスコミに発表するのを待ってください。 ………全てを終わらせてきます」

そう………全てを。

優葉を傷つけたもの………全てを。

しかし、それを思うと胸が引き裂かれるように痛む。

息もできないほどに………苦しい。 

「………そうか。 分かった。 裏口から車を出そう。 そこならまだそんなにマスコミも張ってないはずだからな」

斉木は、その李人の言葉で全てを悟ったのかそう言った。

「………ありがとうございます」


ーーーけれど、優葉が笑うなら。

優葉が………あの穏やかな笑顔と日常を取り戻すなら、この痛みも引き受ける。

「………けど、けして見せるなよ」

俺に、この痛みがあることを………けして、見せるな。

「………俺は、 俳優だろう」

そう人知れず呟いた李人の声は………強い決心とそして悲しみに溢れていたーーー。
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