君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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ーーー気が付けば、優葉は実家の近所にいた。 

まだ、記者がうろついているかもしれないが………もう、何も考えることができなかった。

(どうやって………帰ってきたの?)

優葉は記憶を辿り、ホテルの入り口に止まっていたタクシーに飛び乗ったことを思い出した。 

「はっ………。 よく、運賃足りたなぁ………」

財布の中は、もう空っぽだろう。優葉は思わず失笑した。 

"………いらないよ、お前"


「………ッ!!」

しかし、不意に言われた李人の言葉を思い出しまた眼頭があつくなる。 

(だめだ………。 早く帰ろう)

そう思い、優葉は覚束ない足取りで歩きだす。

(もう………、何も考えたくない。 李人君も、晴夏も………信じることができない。 
もう………何も………)

ーーーその時だった。 

帰る途中に現れたのは、 公園だった。 

和泉が待っていると言っていた、あの公園。


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