君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

(そうだ………。 公園には………)

優葉は、公園へと足を踏み出した。 

あれからもう2時間以上は経っている。 
空ももう、夕方になりかけ周囲には人影がない。

しかしーーー

「………ッ」

優葉は………見つけた。

一人、静かにベンチに腰掛けている和泉を。 

「………先生!」

そして、優葉の存在に気が付いた和泉はすぐさま、優葉の元に駆け寄った。

「………瀬名、君………」

「ん?」

「あれから、ずっと待っててくれたの………?」

優葉がそう問えば、和泉は微笑んだ。 

「当たり前だよ。 約束したでしょ?」

「………ッ!!」

ーーーその、眼差しの柔らかさ。

ーーー優葉に向ける………穏やかな表情。


その和泉のすべてが………傷を負った優葉の心に強く、強く、染み渡ってゆく。 

「ッ、 瀬名、くんッ………!!」

そう思えば、優葉は衝動のまま和泉に抱きついていたーーー。

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