君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

ーーー優葉が涙ながらにそう言った瞬間。

「………そうだよ」

「ーーーッ!」

「だから、何も先生は悪くない。 悪くないから………」

そう言い和泉は、優葉を抱きしめ返した。 

「言い方が乱暴で………ごめん。 けど、分かって欲しかった」

「瀬名君………」

「先生は、ちゃんと橘 李人に愛情を伝えていた。 俺も、他の誰もアンタの心に入る隙がないほどに………好きだった。 篠村のことも、同じく心から好きだったはずだよ。 ………先生はそういう人」 

「………っ」

「だから、自分を責めないで。 アンタは人を傷つける接し方はしない。それに………先生は充分苦しんでる。 これ以上………自分で自分のクビを締める必要はないよ」

そう言い、和泉はまた優葉を強く抱きしめた。

「もう苦しまないで………先生」

「………!」


「先生………。 ーーーううん、優葉。 俺がいるから」


「………ッ!!」

「アンタが橘 李人から受けた傷は………俺も、引き受ける。 優葉が俺にそうしてくれたように」
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