君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「優葉のことばかり………考えてしまうんでしょう………」
ーーー優葉と恋人同士でいた幸せな日々。
まるで、過ぎたそれをとてつもなく悔いているように何度も何度も思い出す。
李人自身で崩したことだと、 そして二度と戻ることのないものだと頭では分かっているのに。
「………それは、李人」
斉木は、その後の言葉を言おうか迷った。
李人には、今持っている優葉への感情を捨て早く俳優業に邁進して欲しい。
しかしーーー
「………お前が、まだ大切だと思っているからだ。優葉さんのことを」
どうしても、斉木は目の前で限界まで苦しむ李人を見、そこまで言えるほど鬼にはなれなかった。
「っ………」
図星だった李人は、切なげに唇を噛み締めた。
「………あれだけ、真摯に付き合ってきた子だ。 幼い頃からの思い出もあるだろう。
安心しろ、ゆっくりでいい。 ゆっくりでもいいがーーー必ず、忘れろ。 それが、お前が俳優として生き抜くのに必要なことだ」