君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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ーーー数日後。

午前中の授業を終え、大学構内を歩いていた優葉の心は穏やかだった。 

(関本さん、プレゼント………喜んでくれるといいな)

優葉は先日のことを思い出し、小さく微笑んだ。

和泉が、関本は内職のときにメガネを使うようだからとメガネケースを勧めてくれた。 

和泉と一緒に選んだ花柄のメガネケース。 

その時の和泉の柔らかな表情を思い出すと、優葉もまた和泉の優しさに触れられたことが嬉しくなった。

(………だから、今なら)

こんなにも穏やかでいられる今だからこそ。 

晴夏とも、話せるのではないかとーーー優葉はなんとなく思った。 

「メッセージ………してみようかな」

そう思い、思い切って優葉はスマートフォンに手を伸ばした。 


ーーーその時。 


「………優葉!」

「えっ」

「久しぶり!」


「は、晴夏!?」

今、そこにまさにメッセージを送ろうとしていた人物ーーー晴夏がおり、優葉は驚いた。

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