君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


"ゴミみたいに捨てる"

その晴夏の言葉が………優葉の胸を深く深く抉る。 

「どうせ、 橘君とも別れたんでしょ? アンタはその程度の女よ。 自分が好かれてるなんて………勘違いしないで」

優葉の顔色が段々と悪くなるのを見届けた晴夏は、優葉にそう吐き捨てて言うと、その場を去っていった。

一方の優葉は………、一度に起こった様々な出来事にその心がついていかない。

けれどーーー、 優葉が今一番渇望しているのは

「瀬名君っ………」

ーーー和泉に会うことだった。 

いつものように優葉をからかいながらも、大切そうに温かく見つめてくれる………和泉に会えば。 

この今、抱えている不安も………拭える。 

「瀬名君………、 瀬名君っ………」

優葉は気がつけば和泉の携帯番号を押していた。 

(お願い………。 でて………)

しかし、何度コールしても無機質な機械音が鳴り響くだけであった。

「っ、何でっ………!」
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