君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

優葉は、スマートフォンを乱暴に鞄へと放り投げた。

そして、回らなくなってゆく頭で必死に和泉がどこにいるかと考える。 

(授業は終わったばかりだから………どこかの大講義室にいるかもしれない。一年の頃はよく使ってたから)

「っ、探さなきゃ………っ」

そう思った途端、優葉は走り出していたーーー。 


ーーーーーーーー 

「ーーー瀬名君」

ーーー101大講義室。 

授業を終え、立ち去ろうとしていた和泉をある一人の女子学生が呼び止めた。 

どこかで見たことのある顔立ちであった。 
そして、その雰囲気は………どこか優葉と似ていた。

「………久しぶり。 私のこと、覚えてる?」

そう言われ、和泉は思い出した。 

優葉に思わずキスをしてしまったことから、一番和泉の人生の中で荒れていた日々。 

その時に、一度だけ関係を持った女だった。 
確か………学部は違うが、優葉と同い年だったはずだ。 
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