君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………あの子?」

「最近いつも一緒にいるじゃない! 私と同じ学年の………名前はわからないけど、国語科の子! あの子は瀬名君にとって何なの!?」

「………!」

さっきまでと違い、かなり大声でそう和泉に問いかけ
る女。 

そして、和泉は女が言う人物が優葉であるとすぐに分かった。 

(………ここで、優葉のことを変に勘ぐられたらいけない。 また、変な噂でも立ったら………傷つくのは優葉だ)

そう思えばーーー、和泉の頭は冷静になり、冷めた目で女を見ることができた。 

「………何を勘違いしてるのか知らないけど」

「勘違い………?」

「ただの先輩だよ。 同じ学部だから時々勉強を見てもらってるだけ。 それ以上でも以下でもない。 それにーーー、アンタは知ってるよね?」

言いながら和泉はフと、冷笑を浮かべた。 
女はその笑みを見、背筋を凍らせた。

「………俺は、どの女にも本気にならない。 ただの遊びだよ。そこのところ、ハッキリさせといて?」



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