君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………っ!!」

その和泉の笑みに恐怖を感じた女は、 それ以上何も言うことなく去っていった。 

これで、女が優葉に変な言いがかりをつけることもないだろう。 

和泉の過去の過ちで………優葉が、傷つけられるのだけは耐えられない。 

和泉は心からそう思った。 

(………昼休みか。 優葉が学校にいたら、お昼でもーーー)


ーーー和泉がそう思った時だった。 

ドンっと後ろからドアのようなものと何かがぶつかったような音がし、もう教室に誰もいないと思っていた和泉は驚いて振り向いた。

そして、そこにいた人物に………和泉は目を見張った。


「優葉………?」


思いもしなかった優葉の登場に和泉の身体は硬直した。 

そして、その顔はとても青白くーーー今にも倒れそうであった。 

「ッ、 優葉ッ………!!」

(まさか、今の会話を全部聞いていた………!? いや、それよりも何でこんなに体調が悪そうなわけ………!?)
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