君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

ーーー他の誰も見ていない。 

和泉の目にうつるのは………、これからもずっと一緒にいたいと思うのは優葉だけだ。 

しかしーーー

「………っ、 たの」

腕の中にいる優葉の声が、小さく震えていることに和泉は気が付いた。

「………?」

それにつられ、和泉は優葉をそっと離した。

そして、その優葉の表情を見た途端………和泉の心は打ちのめされたーーー。


「何で………まだ、泣いてるんだよ………」

「………っ」

何も言えずに、かぶりをふる優葉に和泉は苛立った。

「言えよ! どうしてまだ泣いてーーー」


「私………、さっきの女の子との話を聞いてたの………」

「………!?」

「さっき晴夏がマユって子を連れてきて………その子が私に言ったの。 いつか、私も飽きられて、捨てられるって………。 私は………そんなのもう、耐えられない。 もう………もう、誰にも裏切られたくない………」
 
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