君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
ーーーその言葉だけで。
優葉は、和泉が優葉に失望したのだと思った。
やがて、和泉はゆっくりと優葉を通り過ぎ………その姿は見えなくなった。
「私………」
全身の力が抜け、優葉はその場にへなへなと座り込んだ。
「最低だ………私………」
あんなにもいつも優葉の傍にいて、何があっても支えてくれた和泉。
誰に何と言われようと………和泉の話をもっと聞くべきだった。
そうすれば、失わずに済んだ。
ーーーこんなにも心の奥底が震えるほど………大切な人を………。
そう思った途端、優葉の目には瞬く間に涙が溢れ出てきた。
「瀬名君………、瀬名君っ………」
優葉は、後悔と悲しみと共にその名前を何度も繰り返した。
ーーーもう戻れない。
それを知りながら、 優葉は和泉を心から求めていた。