君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

(自分だけを見てほしい、なんて………)

そんな事を思うのは、 李人に恋い焦がれていたとき以来だ。

それを思えばたどり着いた一つの可能性。
優葉は、その可能性に絶句した。

「ッ、そんな………こと………」

ーーーその時だった。 

瀬名邸の正門が開き、 優葉はハッとしその方向に意識を向けた。 

関本がもう出勤したのだろうか? 

優葉はそう思ったーーーが。 

「………え?」

瀬名邸から出てきたのは見知らぬ女性であった。 

歳は、20代半ばといったところか。 大人の雰囲気と気品を漂わせたとても美しい女性であった。 

和泉は、確か姉はいないはずだ。 

ーーーじゃあ、 あの美しい女性は誰なのか? 

ーーーなぜ、こんな朝早くに瀬名邸から出てきたのか? 

様々な疑問がふってわき、優葉の頭の中は限界に達しようとしていた………その時。 

「………あら?」

その女性が、優葉の方を見た。 目があった途端、優葉はその美しさにまた圧倒された。
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