君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………ねえ、ちょっと。 人がいない間に何を喋ってくれてるの?」
いつの間にか、明らかに分が悪そうな顔をした和泉がいた。
その顔は、ほんのりと赤くなっている。
それを見、優葉は今の有華と関本の話が本当なのだと悟った。
「あら、意外に早かったわね、和泉? あ〜、それもそうよねぇ! 愛しの優葉ちゃんが連れ去られちゃったんだもの、それは急ぐわね?」
「そうだったのですね、和泉様」
「〜〜〜ッ」
二人にそう言われ、和泉はますますバツが悪そうに顔を赤くそめた。
「ッ、もういいから!後は自分で言うから有華さん達は黙ってなよ! 行くよ、優葉」
そう言うと和泉は強引に優葉の手を引っ張る。
「えっ? で、でも和泉、朝食の準備がーーー」
「有華さんがするって言ったからさせとけばいいよ。いいから行くよ!」
「い、和泉っ………!」
それ以上言われると優葉はなす術がなく二人に頭を軽く下げると、あとは和泉がなすままに引っ張られていった。