君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「私と………お付き合いしてくれませんか?」
そう言う彼女は、とても愛らしかった。
今の彼女を見れば、ほとんどの男が即答で承諾するだろうと李人はフと思った。
しかしーーー
「………すみません」
「………え?」
「お気持ちは嬉しいです。………でも、北原さんとはお付き合いできません」
「………!!」
まさか、自分が断られるとは夢にも思ってなかったのか、彼女はその瞬間目を大きく見開き、李人に抱きついた。
「橘さん! 私、本当に橘さんのこと好きなんです………! だからーーー」
「ーーー離れろ」
「………!?」
「………俺から離れろ」
そう言った李人の声は、とても低く彼女は背筋が凍った。
そして、ゆっくりと李人から離れる。
李人の表情はいたって冷静なものの、いつもと違いどこか酷く冷たさを感じるものだった。
「言いましたよね? あなたとはお付き合いできませんと」