君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「っ、和泉っ………」

「じゃ、イジメるのは終わり。 行くよ、優葉。 授業がもうすぐで始まるでしょ?」

言いながら和泉は、優葉の手を優しく握り歩き出す。

和泉のその手のひらはいつでも温かく、優葉を安心させる。 

(ううん………。 それだけじゃない)

ーーー優葉をいつも愛しいと言ってくれ、とても大きな愛情で大切にしてくれる和泉。 

その和泉の全てが、優葉を日々惹き付けて止まない。

「やっぱり、狡いんだからっ………」

「? 何、突然? 暑さで頭おかしくなった? あ、優葉は、元から変だね? 忘れてたけど」

「ッ!! もう!!私の一体何が変ーーー っ」

優葉は歩きながら、なりげなく目線を寄せた掲示板の前で思わず立ち止まった。 



ーーー"R町花火大会"


夜空に咲き誇る色とりどりの花火が印刷されているポスターにはそう記されていた。


(そっか………。 今年もきたんだ。 花火大会の季節が………)
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