君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

花火大会は、李人との思い出が沢山ある場所だ。

小さな頃から二人でずっと、花火大会に行っていた。
そして………初めて李人に唇を寄せられた。 


ーーー李人のことを、思い出す。 

(だめ………、思い出したら)

優葉は即座にそう思いなおした。 

李人とはもう終わったのだ。 

彼が俳優としてこれからも活躍するには、優葉の存在は足かせになるものだった。 

そして、優葉をいらないと言った。 

優葉にそのような冷たい記憶を残した李人を………今、目の前でこんなにも優葉を愛してくれている和泉の前ではけして思い出してはいけない。

それはーーー不誠実だ。

「花火大会?」

和泉の声で、ふと優葉は我に返った。

「あ、う、うん! 今年もあるんだなって思って」

「"今年も?" 今まで誰かと行ってたの?」

「えっ?」

そこで、優葉の顔が曇り始めた。 それを和泉は見逃さなかった。

「………もしかして、アイツ?」


 

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