君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


ーーー李人が俳優になる。

それは優葉にとって、更に李人が遠い存在になるかもしれないことを意味した。

(李人君の夢は、もちろん応援したい。でも、 やるせ無いよ………)

なので優葉の心境は複雑だった。

中学2年の夏といえば、思春期真っ只中で、ただでさえ男女の関係を意識し出す。

そして、美少年で誰でも平等に優しかった李人は、とてもモテた。

李人は気にしていなかったが、例え従姉妹であっても、優葉が李人と接することを良く思わない女子生徒は一定多数いた。

なので、彼女らに李人と接する機会を阻まれていた矢先のことだった。

それなのに………

『………ッ』

色々な思いが混ざり合い、一体、どう応えればと悩んでいると、李人が言った。

『俺、優葉に俳優になることを一番に言いたかった。優葉に、一番に応援して欲しいから。
優葉は俺にとって………、とても大切な子だから』

『………!』


ーーーとても大切な子。


優葉はその言葉に胸打たれた。

優葉は例え、その"大切な"という意味が恋愛感情で無く、従姉妹だからという事であっても………嬉しかった。

優葉に一番に応援して欲しいという李人の思いも。

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