君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


李人の思いに応えたい。

例え、優葉が想うような気持ちで無くても………、それが李人の願いなら。

『………うん。私も応援してるね? 私にとっても李人君は………大切な人だから』

その一心で優葉は、李人へ精一杯の笑顔を作った。

『………大切な人か。 優葉、それってーーー』

そこで李人は、一旦言葉を止めた。

『………? どうしたの?』

『いや………。何でもない』

そう言った李人の目が、どこか切なげに揺れていたことに、優葉は気付かなかった。

『俺………、優葉のためにも、絶対に日本を代表する俳優になるよ』

そして、その暁にはーーー

その言葉を李人は呑み込んだ。

伝えれなかった言葉を、必ず近い未来に優葉へ伝える。

そのためには………今は我慢するしかない。


"………とても大切な子"


ーーー李人のその言葉の裏に隠された、本当の意味を伝える事を。


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