君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………遅いよ、優葉。 事故にでもあったのかもと思って心配しただろ?」
「………ご、ごめんなさい」
優葉の元に来た李人は、いつもよりどこか口調が強く優葉はたじろいでしまった。
(気のせい………? 李人君が少しだけ怒ってるような………?)
「………で? この人は誰?」
そして、李人は優葉の隣にいた和泉を強い眼差しで見据える。
「え、っと………、瀬名 和泉君。 私がアルバイトさせてもらってる塾の生徒で高校3年生なの」
「………生徒?」
「う、うん。偶然会って……….」
「そういう事か………。 でも」
李人は一瞬、優葉からの和泉の紹介を聞いて表情を緩めたが、和泉を再び見るや否や、また強い眼差しで見つめた。
(李人君………?)
優葉はそんな李人の表情の変化に気付いたが、 訳が分からず混乱していた。
「………アンタ、誰?」
(………信じられない。 この女、男連れてたの?)
一方の和泉も、優葉が男性といた事に………驚きと共に心の奥で小さな鈍い痛みを感じた。
そして、明らかに挑戦的な態度をとる李人の事もあり、口調がぶっきら棒になる。