君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
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『ハハッ』
『もうっ………!瀬名君、酷いよ!』
『酷いのは、俺の時間を奪ったアンタ』
「ーーー………ッ」
李人は優葉の手を無言で引き続け、河川敷まで戻ってきた。
花火が後10分もすれば始まることもあり、土手には先程よりも人だかりができていた。
なので、李人と優葉が座っていた場所はもう他の若いカップルに取られてしまっていたのでまた、新たに座る場所を探す必要がある。
(何だよ………、 さっきのは)
しかし今、李人の心中にあるのは、コンビニでの優葉と和泉の冗談を言い合いながらも楽しそうに笑いあっていた場面のみだ。
わたあめの件があって、帰りが遅い優葉が気になりコンビニに足を運べば………、他の男と優葉が、李人には見せなくなった明るい太陽のような笑顔で喋っていた。
何より、和泉は優葉のアルバイト先の生徒だが、実際には和泉と優葉は歳が2つしか変わらず更に………
ーーー和泉が気付いているかどうかは定かではないが、 李人が優葉といる時と同じ………、心が温かさと幸せで満たされてゆくような、柔らかな表情をして優葉と笑いあっていた。