君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
それを見た李人の心の中は一気に激しく熱を帯び………黒く染まった。
だからこそ………後々、正体を知られるのを承知で和泉の前で強調した。
ーーー今、 優葉の横にいるのは俳優の橘 李人だと。
その李人と普通の高校生の和泉では格が違う。
だから………優葉にそれ以上近付くなという牽制を暗にした。
しかし、それでも心の中で放たれる激しい熱と、暗さが抑えられない。
「李、人君………?」
一方の優葉は、コンビニからずっと手を放さず無言で淡々と歩く李人を見て、混乱していた。
「ご、ごめ………っ、李人君。 ごめんねっ………」
しかし、気付けば優葉は李人の背中に向かって謝っていた。
もしかしたら、李人に何か不快な思いをさせたのかもしれないと思ったからだ。
わたあめの件も、李人は子どもの頃を思い出し、懐かしむ思いであのような提案をしただけだったはずだ。
しかし、優葉の態度は明らかにそれを拒絶した。
そして、優葉がコンビニにいた時間も和泉に会った為とはいえ長過ぎた。
そのような今日の出来事が優葉の頭の中を巡り、一気に罪悪感の波へと連れ去る。