君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………何で謝るの? 優葉」
李人は依然として優葉の方を見ようとしない。
ただ、 固く握られた手が熱を増してゆくのを優葉は感じた。
「だ、だって………、私、わたあめの事も……….、 瀬名君も」
和泉の名前を口にした途端、李人は優葉の方を振りむいた。
ーーーそしてその表情は、優葉が今までに李人から感じた事の無いような怒気を帯びたものだった………。
「何? 優葉は、あの高校生といたかった? ………俺じゃなくて」
「え!? ど、どうしてそうなーーー」
と、言いかけた優葉の腕を………李人はグイっと強引に掴む。
そしてーーー、 それは花火がその音を上げるのと同時だった。
「………ッ!!!」
ーーー李人のその眉目秀麗な顔立ちが………優葉の顔に息がかかりそうな程に一気に近付いた。
もう少しで唇が重なり合う李人との距離に………優葉は驚きで目を見開く。
しかし李人は、そんな優葉の表情を目にした途端………、唇を噛み締めるとそっと優葉の腕を解放し、距離を放す。
「………り、ひと君………?」
(な、何が起こったの………?)