君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
(晴夏は悪気が無いと思うし………、 綾子の事も信頼してる、けど………。)
「あ、ーーーゴメン、優葉。優葉があまり橘君の事を、人に話したがらないのは何となく感じてたけど………綾子だったからつい」
表情を曇らせている優葉の様子に気が付いた晴夏は気まずそうに優葉に謝ってきた。
「う、ううん。私も………晴夏に、李人君の事を黙って置いてほしいと言葉にした事無かったし………。 私が悪いよ」
優葉は、なんとか口角を上げ、晴夏に微笑み返すと、晴夏は安心しきったのか胸を撫で下ろした。
「ありがとう、優葉。 そしてごめんね」
「ううん、こっちこそ今までハッキリと言わなくてごめんね。ーーーそして、綾子にお願いがあるの」
李人の事を綾子に知られたのならばもう、誤魔化しなど効かないだろう。そう思った優葉は意を決して綾子を見つめる。
「うん。何?」
「晴夏の言う通り、俳優の橘 李人は私の従兄弟なの。 でもこの事は………けして誰にも言わないで欲しい。お願い」