君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「ーーーッ!?」
晴夏が綾子に同調したので、優葉は狼狽える。
「ま、ま、まさかっ………!」
(李人君から早く話が逸れて欲しい。これ以上、言葉が出てこないよ!)
「………そう? でもまぁ、よく考えたら橘君の従姉妹だしね、優葉。 橘君にとっても家族みたいなものか! それで恋愛関係になるって中々ないよね?やだ、早とちりしちゃった」
「あっ………」
しかし………、その後の晴夏の言葉が優葉の胸に深く突き刺さった。
(家族みたいなもの………。 恋愛関係にはならない………。)
それらは優葉にとって、これでもかというほど痛感していた事。
しかし、改めて他人に指摘されると酷く胸が締め付けられた。
(………どうして?李人君にとって私は家族で、恋にはならないと諦めている筈なのに。 どうして、こんなに………胸が痛いの?)
「………?」
(………優葉?)
心の中で李人の事を自問している優葉の悩ましげな表情を見て、綾子はその姿を不思議に思うのと同時にある疑念を抱いた。
(………優葉は、さっきの相手は神奈川にいる大学生って言ってたけど、本当はーーー)