クールな御曹司の一途な独占欲
役員会議の準備は済ませてあったので、資料やもろもろ必要なものを本部長室に取りに行き、その足で会議室へと向かった。
その行きのエレベーターでも、本部長は静かに立っていただけだったけど、突然胸ポケットから何かを取り出した。
名刺入れだ。
本部長の名刺入れの内ポケットには、先程四人で交換したときの土田社長の名刺、そして牧田さんの名刺が入っていた。
私は息を飲んだ。
本部長は牧田さんの名刺だけを取り出したのだ。
「・・・牧田幸一、ね」
冷めた顔でその名刺を見つめる本部長に、私は心臓がバクバクと動き出した。
どうして牧田さんを気にするの?
「牧田さんが、なにか?」
「んー?彼、キミに気がありそうだったから。ちょっとジェラシー」
「なっ」
こんなとき、いつものように冗談だったのなら本部長はニッコリと笑うはずなのだが、今日はやたらと冷たい眼差しだった。
私の勘違いだろうか。
「そんなわけないですよっ」
「そうかなぁ?僕の勘は当たるんだよ」
「当たりません!」
さすがに例の元恋人が牧田さんだということまでは勘づかれていないようだ。
本部長に知られたらきっと面倒なことになる。
何より、これ以上私のグシャグシャとした事情に付き合わせてはだめだ。