クールな御曹司の一途な独占欲
そのメールを読んだと同時に秘書室の内線が鳴った。
プルルル、プルルル、と、やけに重苦しく響く電話の音に、体はびくりと跳ねた。
「・・・はい、香坂です」
『受付の松島です。あの、土田産業の牧田さんがお忘れものがあるとかで香坂さんあてにお見えになってますが』
「っ、すぐ降ります」
久しぶりに汗だくになるほどフロアを走ってエレベーターに飛び乗り、一階のエントランスまで降りた。
エレベーターに乗っている間にじりじりと胸が痛み、呼吸も細かくなっていく。
どうしてこんな風に会社まで来るの。
もしかして私が焦っているのを楽しんでるの?
このままじゃ牧田さんのペースに飲まれっぱなしだ。
こんなときどうすればいいのか、失敗ばかりしてきた私には判断がつかない。
─『こんなときくらい男を頼ればいいんだ』─
本部長・・・。
こんなとき、本部長がいれば何とかしてくれたんだろうか・・・。