クールな御曹司の一途な独占欲
しかし会議中の本部長に助けなんて求められるわけもなく、私は丸腰のままエントランスにいる牧田さんめがけて走るしかなかった。
受付の松島さんと仲良さげに話して待つ牧田さんの姿が見えて、最初に松島さんが私に気づき、牧田さんに「来ましたよ」と伝えていた。
「ああ香坂さん、すみませんお呼びだてしてしまって」
「い、いえ、もう帰るところだったので全然、忘れものも分かりましたので持ってきました。あの、外でお渡しします」
「はい。松島さん、それではまた」
二人でエントランスを出てから、やってしまったと気がついた。
これでは二人で帰る流れになってしまう。
あのまま、まだ仕事中のフリをして一旦応接室にでも入れば良かったんだ。
仕事を終わらせて外に出てしまってはますます相手の思うつぼだ。
「やっぱり来てくれた。ハルカ」
会社から少し歩いた路地で、牧田さんは足を止めた。
「・・・牧田さん、会社に来られたらこっちだって困るよ。もうやめて。別れるってちゃんと言ったんだから、いい加減納得してよ」
「ハルカより好きになれる女なんていないよ。一緒にいて一番安心できるし、素の自分でいられた。ごめんね、傷つけたなら謝るよ。直してほしいところは直す」
「直せるわけない。今まで何回も何回も言ってきたのに」
「ハルカ・・・」