ハニー♡トースト
「おかえりなさいませ!」
声を揃え頭を下げて2列に並んだ使用人達を見て、私は唖然とする。
本当にあるのかこんな世界が…
私も慌てて頭を下げる。
「忙しいのにわざわざすまないね」
声にそっと顔を上げる。
笑顔でこちらに向かってくる、高そうなスーツを着こなすイケメン…このお方が、朔弥のお父さん、神宮寺グループの社長…
うちのお父さんとはやはり違う…いや、比べちゃいけないんだけど。
「朔弥、久しぶりだね」
「…お元気にしてましたか?」
「仕事でいろいろとあって、ろくに眠れないよ」
そう言って笑う社長は、なんだか想像していた雰囲気とあまりにもかけ離れていた。