ハニー♡トースト
「日向子」
厨房に行こうとした私の腕を、朔弥が掴む。
「親父には関わるな、呼ばれても絶対に行くなよ」
「…呼ばれたら行くしかないよ。朔弥こそ、私のことは庇ったらダメだよ」
そっと朔弥の腕を話して、私は逃げるように厨房に向かう。
心臓が、嫌な音を立てて鳴っている。
私が、朔弥の足かせになってる。なんとかして、認めてもらわなきゃ。…彼のそばにいるために。
予想通り、夕食の時間が過ぎてから、根本さんに声をかけられた。
「桜田さん、旦那様がお呼びです。三回の書斎に。」
「…はい」
胃がギュッと締め付けられる。
「とにかく、余計なことは言わないこと。いいですか?」
「…努力します」
心配そうな根本さんにお辞儀をしてから、私は階段を上る。