君の瞳にわたしが映っても(完)
わたしはまた、兄ちゃんに助けられたんだ。
「っ…うぅ…ごめ…ん…なさ…い…」
兄ちゃんはきっと篠原さんたちに殴られた。
蹴られた。
血まみれになった。
それでも、わたしを守ってくれた。
涙が止まらなくて、罪悪感で吐きそうで、わたしは声を上げて泣い
た。
その度に殴られた部分が痛んで、口の中も血の味がした。
だけどきっとこれは兄ちゃんが感じた痛みよりも何倍を優しいもんで、そう思うと苦しくて苦しくて自分が本当に大嫌いになった。
裏切った後までぬくぬくと守られているわたしは、最低だ。