君の瞳にわたしが映っても(完)
「お前はこれからだよ。」
兄ちゃんが眼を細める。
「兄ちゃんもね!」
「ははっ、そうかもしれないな。」
わたしは小さく微笑んだ。
その時、兄ちゃんはわたしの背後に視線を向け、
「俺の迎えは必要なかったかもな。」
と小さな声でつぶやいた。
「よっ。」
わたしが慌てて振り返ると、
部活終わりで息が上がっている相川がそこにはいた。
「玲のことよろしくな。」
「えっ、あっ、はい!」
兄ちゃんはそれだけ告げると背を向けた。
「夕飯に遅れないようにな。」