真夏の青空、さかさまにして
僕がなんでもないようにそう言うと、佐川サンは「そういうところも含めてだよ」と苦笑した。シュショーたちもそれに合わせてうんうんと首を縦に振る。
「で、城北ってやっぱり剣道部の人数も多いの?」
「さあ……」
「さあって、キミ剣道部だろー!おもしろいなあ!」
あっはっはと佐川サンが大笑いしながら、僕の背中を叩く。いや、まったくおもしろくないから。
「毎年だいたい三十人くらいじゃないですか、全員で。まあ、僕やめたんで知らないですけど」
やっぱりこういう話題になるか、と自分の失態を責めながらも、それを悟られないように答える。すると、僕以外の全員から「エッ」と大きな声が漏れた。
風呂場に反響して注目を浴びてしまったことに対してバツの悪そうな顔をしてから、声を潜めて「なんで?」「そうなの?」とみんなそれぞれ僕を質問攻めにする。
「え、だいたいの子はみんな高校の部活に持ち上がりだよね?強豪だし」
メガネを外して、ただの色白い人になった仁美サンが困惑したように言う。
「普通そうですね。中等部での引退なんて名ばかりで、そのまま高等部に持ち上がりです。みんな受験なんてないですし。でも、僕は中三の夏にやめました」
「通りで大会で見かけないわけだ……」
「まあ、そういうことです」
大会で見かけないのは、もし続けていたとしてもそうだったかもしれない。なんて言えば、彼らはそれでも僕に剣道を教わりたいと言うのだろうか。僕が彼らだったら、こんなやつには絶対に教わりたくないけれど。