真夏の青空、さかさまにして

もうこれ以上聞くな、という空気を醸し出していたのか、そんな僕を見て仁美サンたちもすっかり押し黙ってしまった。

すると気を使ったのか、シュショーが慌てて口を開いた。



「山下の家でお世話になってるんだろ。恋心的ななにかが芽生えたりは……なんつー顔してるんだよ」



なんつー顔がどんな顔かは知らないが、相当ひどい顔だろう。



「恋心とか気色悪いこと言わないでください」



ちょっと一緒にいるだけで恋だとかなんだとか。真夏相手に僕が?僕相手に真夏が?ありえなさすぎて逆に笑える。



「気色悪いって……山下、けっこう可愛いとか言われてるんだぞ、学校で」

「それはマスコット的な意味合いででしょ、女に見えません」

「なんて辛辣な言葉を……」



そんなことを言いながらも誰もなにも反論しないじゃないか。やっぱりみんなそう思っているんだろう。真夏は女に見えない。




それから僕たちがお風呂から上がって二十分後に、女子二人が仲良く話しながら女湯から出てきた。


つい数時間前の勝利宣言なんてなかったんじゃないだろうか。そう思ってしまうほど二人の間に気まずさみたいなものはなくて、女子ってやっぱり理解し難いなと僕は思う。

練習後は一言も喋っていなかった二人なのに銭湯で何があったっていうんだろう。まあわかりやすくギクシャクしていたのは真夏ひとりなんだけれど。



山下家に帰ると、お腹を鳴らしながら全員で夕飯の支度を始めた。とは言っても、仁美サンと僕以外はまったくの戦力外だったため、ほとんどの作業をなぜか男二人で進める。
< 83 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop