真夏の青空、さかさまにして
「うーん、仲が良いっていうか、壁がないっていうか」
「壁、ですか……?」
「そう、心を許してるっていうのかな。山下といる時の吉弘くんは、僕たちなんかといるときよりもずっと表情が柔らかいから」
「まあ、ずっと一緒にいる山下と今日初対面の僕らを比べるのもおかしいか」と、仁美サンは鍋に野菜を入れながらなんでもないように言う。
表情が柔らかい、そんなことを言われたのは初めて……いや、久しぶりで、戸惑ってしまった。
「そんなこと、ないと思います」
「そう?じゃあ僕の勘違いかな」
僕の反論なんて気にも留めないでにこにこと笑う仁美サンはなんだか大人で、僕はなぜだか少し悔しかった。
その日、いつもは五人で囲む食卓をちょっと肩を狭めながら七人で座り、みんなでカレーライスを頬張った。甘口しか食べられない真夏が唇を真っ赤にしてヒイヒイ言っているのが面白かった。
「あずさ!私が辛いのダメだって知ってたのに辛口入れたでしょ!」
「だって甘口しか食べられないお子様は真夏だけだったからね、仕方ないじゃん」
「いいもん、卵入れてまろやかにするもん‼︎」
「あ、僕もちょうだい」
「辛口が食べられるあずさくんはそのまんま食べてくださ〜いっ」
僕らのやりとりを見てみんなが笑う。当の僕はと言えば、平静を装いながらも仁美サンの言葉が気になってなんとなくいつも通りではいられなかった。
次の日、目がさめると目の前に足があった。
一瞬何事かと思ったけど、そうだ、昨日は男子部員たちが僕の部屋に押しかけてきてこのむさ苦しいなか寝たんだった。なんて目覚めの悪い朝なんだろう。