真夏の青空、さかさまにして

この足はだれだと確認すれば、チャラチャラ茶髪の佐川サンだった。……たしか寝る前は僕といちばん遠いところにいたはずだ。間のシュショーたちの上を転がってここまで来たのだろうか。寝相、悪すぎだろう。



「起きてください、朝練あるんでしょう」



目覚まし時計を止めて、まだ夢の中にいる男子部員たちを叩き起こす。佐川サンは最後の最後まで起きなかった。


一階に下りると、真夏と中野サンが眠そうな顔で菓子パンを配ってくれた。朝ごはんではない。朝練前の腹ごしらえだ。

それをのろのろと食べ、みんなが食べ終わるとシュショーが「よし、じゃあ行くかー!」と元気よく声を上げた。一人だけ完全に目が覚めたらしい。



「じゃ、行ってきまーす」



シュショーを先頭に部員たちがぞろぞろと道場に向かっていく。

朝練はランニングや素振り、すり足などをするらしいので、技術面のアドバイス要員である僕は必要ないだろうと家に残った。少しでも一人でゆっくりしよう。そう思っていたのに、真夏から「じゃあ、なにか軽くご飯作ってて!」とご指名が入る。



「はあ?なんで僕が」

「だって暇でしょ?」



たしかに今日一日、というか夏休みになってほとんど予定はない。部屋にこもつて夏休みの宿題をするくらいだ。

だけど、真夏にそう言われると腹が立つのはなぜだろう。


ダンダンダンと乱暴に玉ねぎとにんじんを切り鍋に入れる。おにぎりだけで済ましてやろうと思っていたのに、味噌汁とだし巻き玉子まで用意してしまった。これで文句はないだろう、という気持ちで。
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