真夏の青空、さかさまにして

でも、意外だった。真夏は僕がどんな嫌味を言おうと、冷たくあしらおうと、だいたい間抜けな笑顔でさらっと受け流してしまうものだから、もしかしてその真意に気がついていない脳内お花畑なのではないかと疑っていたのに……どうやら違ったらしい。


真夏がそこまでの馬鹿じゃなかったことに安心すると同時に、それならどうしてこんな僕を笑って受け入れてくれるのだろうと新たな疑問が浮かぶ。

真夏は、僕のことを本当はどう思っているんだろう。



「ほら、そこふたり!イチャついてないで、いただきます、するよ」



もう一度笑えと頰をつねってくる真夏に抵抗していると、中野サンがのれんから顔を出して冷ややかな目で僕たちを見ていた。



「えっ、ちがっ、イチャついてなんか!」

「あーはいはい、どうでもいいから早くごはん食べよ。超お腹空いた。超ごはんおいしそう」



ひとりで慌てる真夏をよそに、中野サンはさっさと朝食が並べてあるリビングに戻っていく。本当にごはんが待ち遠しいみたいで、早く、と急かす目がギラギラと光っていた。


僕はといえば、そんな中野サンを見て〝いただきますをする〟という発言だとか、ごはんを楽しみにそわそわするだとか、中野サンが案外悪役っぽくなくて思わず笑ってしまいそうだった。

笑ってしまえばきっと面倒くさい絡まれ方をするだろうからなんとか抑えたけれど、そんな僕に気づいたのか、真夏は「アヤちゃん、実はかわいいでしょ」と得意げに笑った。
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