真夏の青空、さかさまにして

「手を合わせてください」



シュショーの妙にかしこまった口調。それが逆におもしろいらしく、みんなにやにやとお互いに顔を見合わせながら、手を鳴らすようにして大げさに両手を合わせる。

小学校の給食の時間を思い起こさせる一連の流れに僕がげんなりしていると、となりに座る真夏が「はやく」と無理やり僕の手をくっつけた。それを見てシュショーが、よし、と満足げに頷く。



「いただきます」

「いただきまーすっ」



元気よく声が重なって、待ちきれんというようにみんなそろってお箸を持つ。そのタイミングがあまりにも一緒でおかしかったけど、僕以外は食べることに夢中でだれもそんなことには気がついていないみたいだった。

それからはお味噌汁だったり卵焼きだったりそれぞれ好きなように手をつけたけれど、ごはんを頬張る顔がみんな高校生には見えない。あの仁美サンでさえも、お味噌汁を飲み干して「あー、しあわせだ」と想像もしなかったような幼い顔で笑うんだから驚いてしまう。



「マジ生き返るわー!」

「疲れた体にお味噌汁が沁みる……」

「ねー! ほんとほんと!」



こんなちょっとしたごはんでこれだけ喜ばれるって、いったい朝からどれだけ走ってきたんだ。よっぽどだったんだろうな、と昨日の稽古で意外にもスパルタを見せつけたシュショーを思い出す。


特に打ち込み稽古はすごかった。初心者相手だろうが足を休める暇なんてほんの一瞬も与えず、ちょっとでも足が止まれば「どうした、空いてるぞー」と次を催促し、声がほんの微かにしぼめば「今のじゃ一本にならないなあ」ともう一本。
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