こっち向いて笑って、先輩!


「行くぞ」


「あ、おう……」


きっと、怪我の手当てで保健室に行っていた真壁くんがちょうど戻ってきたタイミングだったんだろう。


じゃあ、もしかして飯田も保健室に?


あの感じだと飯田も怪我をしているよね?


真壁くんは、これ以上何も聞くなって目を私たちに向けてから、友達と一緒に教室の方へと行ってしまった。


「何あの態度」


真壁くんの背中に向かってボソッと誰かがそう言った。


「あ、っと、ごめん!更衣室に忘れ物したみたい!みんな先行ってて!」


飯田は理由もなくあんな風に人に掴みかかったりしない。私は、グループに声をかけてから急いでクルッと後ろを振り返ってから、保健室へと向かった。


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