こっち向いて笑って、先輩!
─────ガラッ
「飯田!」
ドアを開けたと同時に声を出す。
「ちょ、静かに」
目の前に見えた養護教諭の先生がそう言って人差し指を口元に持って『シー』のポーズをした。
「あっ、すみません。あの飯田くんは……」
先生は、保健室から出てドアを閉めてから、私を廊下に出す。
関係者以外立ち入り禁止って感じだ。
「今、奥で先生たちに喧嘩の原因を説明しているところよ。怪我の手当ては終わったから。何か彼に用事でも?」
「あ、いや、心配になって。喧嘩とかするタイプじゃないので」
「そう。彼が話してくれそうだったら、原因聞いてみたら?今はとりあえず、次の授業の準備しな」
先生はそう言って優しく私の肩を叩くと、保健室の中へと戻って行った。