こっち向いて笑って、先輩!





「飯田!」


放課後、腕に大きめの絆創膏をした飯田を下駄箱で呼び止める。


「っ、来原。……お前放課後ダンスの居残りだろ。さっき名前呼ばれてたぞ」


「なんで、真壁くんと喧嘩したの?」


腕の傷を見つめながらそう聞く。
きっと、掴みあった拍子に地面に転んで擦りむいてしまったんだろう。


「別に、喧嘩っていうほどでもないけど。真壁のやり方に俺が文句言っただけ」


「っ、嘘だ……飯田は喧嘩とかしないじゃん!」


「来原の俺のイメージがどうなのか知らないけど、別に気に入らないことがあったら普通に言うよ」


やっぱり不自然だ。
飯田が嘘をついているのはわかるけど、本当のことは何が隠されているのかわからない。


「……っ」


「じゃあ、俺部活だから」


飯田はそう言って、靴箱を後にした。


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