こっち向いて笑って、先輩!


そして、やってきた私の番。


足、遅い方だけど、練習と作戦通りならここで私が少し鈍くてもかなりの差ができているので、次のアンカーである真壁くんにしっかりバトンを渡すことができれば、無事5組の優勝間違いなし。


そう思うと、変に緊張して足が少しだけ震える。


「桃頑張れ!」


走り終わって列に並んでるみんなに応援の声をかけてもらうたびに緊張が増す。


パッと顔を上げると、もうすぐそこにバトンを持ったクラスメイトが走っていた。


あぁ、来る。ちゃんと受けとらなきゃ!


「来原っ!」


そう言われてバトンを受け取り、


全速力で走───


えっ?


ちょ、


なんで?


視界が一瞬スローモーションに見えて。


嘘?


こんな時に限って──────



気付いた時には、


バタンッ


私は、自分の足が絡まって盛大に転んでしまっていた。


< 138 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop