こっち向いて笑って、先輩!
『おっと?!今までトップだった5組!なんと、ここで盛大に転んでしまった!』
放送委員のそんな声がして、会場の空気がざわつく。
「桃?!」
「来原転んだ?!大丈夫なのか?!」
どうしよう、顔があげられない。
立てない。
怪我の痛みなんて感じなくて、今は、恥ずかしかでどうしていいかわからない。
『ここで5組、2位の1組に追い抜かれた────!続けて、4組も追い上げてくる!』
違う!!!
恥ずかしいとか考えちゃダメだ!
かっこ悪くたって走らなきゃ!
私だけの勝負じゃないもん。
みんなが今まで頑張って繋いできた1位を、私で終わらせちゃダメだ!
俯いていた顔を、立ち上がったと同時にあげて。
「……っ」
私は、今出せる力を全部出してグラウンドを走る。
痛みは感じないけれど、やっぱり明らかに遅い。
それでも────頑張るんだ。
先輩にも、約束しちゃったもん。