こっち向いて笑って、先輩!
『5組の来原 桃さん、大丈夫でしょうか。今、起き上がって走り出しました。無理はしないで欲しいところ─────』
やっと、アンカーの真壁くんにバトンを渡せるところまで来れた。
「ごめんなさ、真壁、くん」
「……っ」
真壁くんは、コクリと頷いてから私からバトンを受け取り、勢いよく走り出した。
最後に走るアンカーはグラウンドを2周走らないといけない。
1位だった私たちのクラスは、私のせいでもうすでに他のクラスに追い抜かれて、只今の順位は7位中5位。
「……みんな、ご、ごめんなさ─────」
「謝るの後!真壁のこと応援するよ!」
「大怪我しなくてよかったよ」
並んでるみんなに頭を下げようとすると、そんな風に言われた。
「うっ、」
溢れそうになる涙をこらえる。