こっち向いて笑って、先輩!
1人だけ、やる気満々で、そのやる気が空回りして盛大にこけて迷惑かけたのに、そんなことが言えるみんなに涙が出そうになる。
「あっ!真壁が3人抜いた!」
え?
慌てて走る真壁くんの方に目を向けると、なんと、2周目で2人を追い抜いていて、今はもう2位の人のすぐ後ろを走っていた。
うっそ……。
「さすがだなぁ〜あいつ、中学の大会しょっちゅう賞もらってたよ」
「え?真壁くんって足速いの?」
「速いってもんじゃねーよ。高校に入ってなぜか陸上部には入らなかったけど、あの走り、未だに朝と夜にランニングしてるって噂本当だな」
え????
『おぉー!?アクシデントに見舞われた5組ですが、なんと、アンカーの真壁くんが今、トップの1組を追い抜こうとしています!』
クラスメイトの会話に驚く余裕を与えない。
気がついたときには、
真壁くんが、誰よりも先にゴールテープを切っていた。
『1位、5組!続けて────』