こっち向いて笑って、先輩!
*
「おい、来原、保健室行くぞ」
「げっ、飯田」
「げっ、ってなんだ。げって」
だって、あんまり険しい顔しながら近寄ってくるんだもん。また、盛大にこけやがってなんて怒られると思ったから。
「怒らないの?飯田。私が転んで足引っ張ったこと」
「は?なんで怒るんだよ」
飯田に言われてやっと膝の擦り傷に目を向けると、そこまで大怪我ではなかったけど血が滲んでいた。
傷口を見て初めて、痛いかもって思う。
それくらい、リレーのことで頭がいっぱいだった。
「お前が転んだお陰で、クラスがまとまったんじゃねーの」
「如月先輩にね、頑張ってって言われて。夢じゃないかって、あんまり嬉しくって、頑張ろうって力入れすぎたら、盛大に転んでしまいました」
「へー、如月先輩にね」