こっち向いて笑って、先輩!





「おい、来原、保健室行くぞ」


「げっ、飯田」


「げっ、ってなんだ。げって」


だって、あんまり険しい顔しながら近寄ってくるんだもん。また、盛大にこけやがってなんて怒られると思ったから。


「怒らないの?飯田。私が転んで足引っ張ったこと」

「は?なんで怒るんだよ」


飯田に言われてやっと膝の擦り傷に目を向けると、そこまで大怪我ではなかったけど血が滲んでいた。


傷口を見て初めて、痛いかもって思う。


それくらい、リレーのことで頭がいっぱいだった。


「お前が転んだお陰で、クラスがまとまったんじゃねーの」


「如月先輩にね、頑張ってって言われて。夢じゃないかって、あんまり嬉しくって、頑張ろうって力入れすぎたら、盛大に転んでしまいました」


「へー、如月先輩にね」


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